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●シラタマモの生息環境 出羽島大池は島の西側の海岸にある南北約70m、水深30〜50pの極浅い池でこの小さ な池に国指定天然記念物のシラタマモが生育しているのだ。 大池は東側は山、西側は海で海と池の間にはゴロ石が積み重なりその隙間を絶えず塩水が浸透 している。池と海の水面の高さは若干海の方が低くなっている。山や谷からは淡水が流入してい るが絶えず半塩水で通常海水濃度の1/2〜2/3位の濃度がある、この濃度は潮の干満や場所 によって異なるが大池全体がこの特殊な状態をほぼ一定に保っている。 ●シラタマモの生態 シラタマモは輪藻綱・シャジクモ目・シャジクモ科に属し沈水生の多年生小草本で冬に白い 小球体(直径1〜2o)の越冬芽を作るところから名前がついたとされる。体長は最盛期には 20〜50pになり主軸の太さは0.5〜0.8o、長さ1〜5pにも及ぶ単細胞からなる 節間細胞と放射状の小枝を出す多細胞の節部が交互に配列したものによって構成されている。 4月〜7月に小枝の基部にオレンジ色の造卵器(雌器)と造精器(雄器)をつくる。雌器は 頂端に5個の小冠細胞を付け5本の螺旋状細胞が卵細胞を覆った形で構成されている。雄器は 8枚のプレートによって外壁を構成した球状体で成熟するとプレート内側にある造精器から 精子を出し雌器に侵入して受精する。受精すると卵細胞は黒く色づく、その後成長して数日〜 数ヶ月で造卵器の壁細胞がとれて発芽し原糸体をつくる。原糸体は節から2対くらいの側枝を 出してやかで本体が生じると原糸体は枯れて本体が成長してゆく。 シラタマモは上記のような有性生殖の他に仮根部に付く小球体から芽をだす栄養生殖も盛ん に行われている。つまりはシラタマモは植物でもなく動物でもない生体なのだ。 ▲雄器と雌器の拡大写真 ▲仮根の部分に白い小球体がつく このシラヌマモの仲間は今から約1億数千年前の白亜紀に発生し、その多くは海水から淡水 へと進化したが、その進化の移行過程をそのままに残した正に生きる化石である。また、この 種は塩分濃度の適応範囲が広くて通常海水濃度の2倍程度まで適応出来る、その点からも貴重 な生体と言える。 ●シラタマモは国のRDB(絶滅危惧T種)に指定されています。 現在シラタマモは世界中で4ケ所で生息が確認されています。 (40年ほど前までは秋田県八郎潟にも生育していたが干拓のため絶滅している。) 4ケ所とは出羽島大池、アフリカのリビアの海岸、インド洋上のモーリシャス、ニューカレドニア で北緯30度〜南緯23度の間に限られており出羽島大池は最も北限にあり貴重な存在となっ ているが、逆にいいかえればちょっとした環境の変化で絶滅する危険もある。実際出羽島のシ ラタマモは一時激減していたがその後持ち直し増殖してきています。しかし、まだまだ保護対 策は不十分でさらなる保護対策が必要だ思います。 既にシラタマモは国の既に絶滅した種、危惧される動植物をリスト化したRDBに登録され ており段階としては一番重い「絶滅危惧I種」に指定されています。このことはあまり知られ てないかもしれませんが、牟岐町には更なる保護対策をやって欲しいと思います。 ■RDBについて詳しく知りたい方は下のリンクをクリックしてください。 生物多様性情報システム |